池袋「キッチン チェック」が閉店──昭和の温もりと共に去った名店の記憶
池袋駅西口、ロサ会館の1階にあった「キッチン チェック」。このお店は、単なる洋食店ではありませんでした。
1968年の創業以来、昭和から平成、そして令和へと移り変わる時代の中で、多くの人々の生活に溶け込み、愛され続けてきた存在です。ハンバーグ、エビフライ、ビーフシチュー、オムライス──どれをとっても手作り感が溢れるメニューたちは、訪れる人々に幸福感を与え続けました。
私もその一人で、過去に数回訪れただけですが、目の前に出されたオムライスの鮮やかな黄色と、その中に隠されたふっくらとしたケチャップライスを思い出すたび、心がほっとするような感覚に包まれます。狭いカウンター席に腰をかけ、昭和の時代を彷彿とさせる店内で食事をする時間。それはまるでタイムマシンで過去に戻ったかのような特別なひとときでした。
しかし、2024年7月、「キッチン チェック」は閉店しました。
池袋における洋食文化を代表するこの名店が、ひっそりとその歴史に幕を下ろしたのです。この事実を知ったのは閉店後のことでした。「もう一度、あの味を堪能したかった」「まだ試していないメニューがあったのに」。そういった後悔が胸に込み上げます。けれど、私のように感じた人は少なくないはずです。閉店前日には多くの常連客が訪れ、最後の料理を楽しみながら店主やスタッフに感謝の気持ちを伝えたと聞きます。
老舗が消える時代──その背景を考える
このような老舗の閉店が増えている背景には、現代特有のさまざまな課題があります。
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