「年収103万円の壁」引き上げ案の腑に落ちない理由
「年収の壁」の引き上げについて疑問
年収103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の引き上げについて、新たに政府や与党内で、一定所得以上の富裕層への適用を制限する案が浮上しているとのこと。この動きには、一見すると「低所得者層に優しい政策」との印象を受けるが、果たしてその実態はどうなのだろうか。
政府の説明によれば、この施策の狙いは減税の恩恵を受ける対象を絞ることで税収減少幅を抑えることだという。だが、103万円未満で所得税を払っていない人たちの税負担が引き続き免除される一方で、さらに稼げるような環境を作る施策がなぜ優先されるのか、どうにも腑に落ちない。
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不公平感を助長する可能性がある
政府の説明によれば、この施策の狙いは減税の恩恵を受ける対象を絞ることで税収減少幅を抑えることだという。しかし、そもそも無税にして稼がせるというのも違和感がある。これまぜ税金を支払ってこなかった人たちの利益を拡大し、他の納税者が相対的に不利になるような結果になる。これは不公平感を助長する可能性がある。
税金は国の運営を支えるために、国民全員で分担すべきものだ。もちろん、収入に応じて負担割合が異なるのは当然だが、「払う能力があるのに払わない」という免除の幅が広がることに疑問を抱かざるを得ない。このままでは、税金を納めている人たちが相対的に損をするような制度設計になりかねない。
家計…