総務省統計局では、日本の統計2016なる資料が公表されています。
色々な切り口から、日本の現状がうかがえる代物です。
今回は、この統計データを使って、高校生の進学率、つまり大学の学部・通信教育部・別科等への進学率を見てみました。
すると、女子の進学率が高いことが見えてきます。少し意外でしょ?
<目次>
1.高校卒業生の多さと進学率の関係を都道府県別に見る
2.男女別の進学率は歴然の差。女子の進学率が高い。
3.他都道府県への転出者に占める女性の割合と女子の進学率との関係
4.所感とまとめ
1.高校卒業生の多さと進学率の関係を都道府県別に見る
まず、高校卒業生の進学率はどのくらいなのか?全国平均で見てみると、53.2%となっており、卒業生の約半数が進学している状況です。
大学等への進学率はかなり一般的になってきているようですね。
さて、この53.2%は全国平均でありますので、都道府県別に見てみると少し違った様子も見えてきます。
進学率が高い都道府県のトップ10を見てみましょう。
この結果を見ると、東京都、京都府で進学率がダントツに高く、それぞれ65.2%、64.6%に及びます。全国平均よりも10%以上高い地域です。
その他にも、広島県、神奈川県、兵庫県、愛知県等々、大都市圏では進学率が高い傾向が見て取れますね。
この傾向は、大都市圏であること、つまり人口が多いので高校卒業生数も多いということではないかと考えられます。
つまり、高校卒業生数が多い地域ほど、進学率が高いのではないかと。
そこで、高校卒業生数を横軸に、縦軸に進学率をとって各都道府県の状況をプロットした図が下図になります。
この結果を見ると、概ね高校卒業生数が多くなるほど、進学率が高くなる傾向があるとも見えますね。
ちなみに、高校卒業生数と進学率の相関係数は、0.549。相関があると言ってもよさそうな数値です。
2.男女別の進学率は歴然の差。女子の進学率が高い。
つづいて、男子と女子とでの進学率の差を見てみましょう。
まずは全国平均で見てみると、男子は50.9%、女子は55.5%と約5ポイントも女子の方が進学している。
一昔前は、男子の方が進学率は高かったなどと言われていたようですが、現在の状況では、女子の方が進学率が高いのです。
なお、この数値は全国平均ですので、都道府県別に見ても、それぞれの地域で女子の方が進学率が高いのでしょうか?
まさにその通りなのです。ほとんどすべての都道府県で女子の進学率の方が高い。
北海道、山梨、新潟の3地域だけで、わずかに男子の方が進学率は高いものの、それ以外のすべての地域で女子の進学率が高くなっています。
そこで、男子と女子との進学率の差(%)を見て、差が大きい方から10地域を抽出したのが下図となります。
高知が最も男女間で進学率の差が大きく、13.5ポイントも女子の方が進学率は高い。
その他にも、鹿児島で13.1ポイントも女子の方が進学率は高い。
この地域を見ていると、西日本の県が多いですね。
高知県、鹿児島県、宮崎県、大分県、山口県、鳥取県、佐賀県、岡山県。なんと上位10の中で、8件も西日本が占めています。
西日本の女性は、進学して勉強する意欲がひときわ高い(?)ということでしょうか。
3.他都道府県への転出者に占める女性の割合と女子の進学率との関係
さらに、他都道府県への転出者に占める女性の割合を見てみました。
なぜ、このデータに着目したかと言えば、男子よりも女子が進学する割合が高い地域ほど、女性が他都道府県に転出する(進学や結婚等の理由で)と想定したからです。
では、いざその関係を見てみましょう。
下図が、男女間の進学率の差(女性の方が多い)と転出者に占める女性の割合の関係です。
この結果を見ると、女子の進学率が男子よりも高い地域ほど、転出者に占める女性の割合が高い地域であることは、グラフを見ただけでは分からない見にくい結果となっています。
何とも言えないようなそんな感じですが、男女間の進学率の差(女性の方が多い)と転出者に占める女性の割合の相関係数を見てみると、0.460となりそれなりに相関があるとも見えます。
4.所感とまとめ
高校を卒業後の進路について、進学を選択するのは男子が多い、そんなイメージを世の中の多くの人が持っているのではないでしょうか。
一昔前であれば、長男は将来一家の大黒柱になる、また次男以降でも独り立ちしなくては、ということで進学させる。
一方、女子は家の中で大切に育てて、嫁に出すのだから、あえて進学させるという選択肢をとらなくても…
上記のようなイメージはかなり時代錯誤であることは認知しているつもりですが、そんな昔のイメージが頭にはある一方、実際に統計を見てみると、むしろ女子の方がかなり進学率は高い。
そんな結果、がありありと見て取れる結果でした。
近年は、女性の方が進学を契機に新しい生活や経験・知識を積極的に求めていることの現れなのでしょうか。
この記事へのコメント
糸山
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糸山