「年収103万円の壁」引き上げ案の腑に落ちない理由

coins-1726618_640.jpg

「年収の壁」の引き上げについて疑問


年収103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の引き上げについて、新たに政府や与党内で、一定所得以上の富裕層への適用を制限する案が浮上しているとのこと。この動きには、一見すると「低所得者層に優しい政策」との印象を受けるが、果たしてその実態はどうなのだろうか。

政府の説明によれば、この施策の狙いは減税の恩恵を受ける対象を絞ることで税収減少幅を抑えることだという。だが、103万円未満で所得税を払っていない人たちの税負担が引き続き免除される一方で、さらに稼げるような環境を作る施策がなぜ優先されるのか、どうにも腑に落ちない。

経済学の基本が学べる書籍
税金や所得分配の基礎が学べる一冊。政策の背景理解に最適。

不公平感を助長する可能性がある


政府の説明によれば、この施策の狙いは減税の恩恵を受ける対象を絞ることで税収減少幅を抑えることだという。しかし、そもそも無税にして稼がせるというのも違和感がある。これまぜ税金を支払ってこなかった人たちの利益を拡大し、他の納税者が相対的に不利になるような結果になる。これは不公平感を助長する可能性がある。

税金は国の運営を支えるために、国民全員で分担すべきものだ。もちろん、収入に応じて負担割合が異なるのは当然だが、「払う能力があるのに払わない」という免除の幅が広がることに疑問を抱かざるを得ない。このままでは、税金を納めている人たちが相対的に損をするような制度設計になりかねない。

家計簿ノート
節税や収入管理に便利なツール。特に主婦や副業者におすすめ。

4.4%のために他の大多数が税負担を増やす


特に、2023年のデータによると、年収100万円超200万円以下の所得を得た給与所得者は725万人で、その中でも103万円超178万円までの層は約544万人、全人口の約4.4%に相当する。この4.4%のために他の大多数が税負担を増やすことになるのは、公平性の観点から議論が必要だろう。

税金をたくさん納めている人たちの意見には、一定の重みがあるべきだ。彼らは相応の負担をしているのだから、自分たちの意見を反映させる権利もあろう。一方で、負担していない層の意見が優先されるのは、公共サービスへの「ただ乗り」を助長しかねない。

「103万円の壁」引き上げ問題は、国民全体で考えるべき公平性のテーマであり、一部の利益ではなく、国全体の利益を見据えた議論が求められるのではないだろうか。

税制改正解説の実務書
税制の変更を分かりやすく解説。専門知識を深めたい人向け

スタイリッシュなポケット電卓
持ち運びに便利な高機能電卓で、計算も簡単に。家計管理にも役立つ




この記事へのコメント