ダイナミックなプライシングの次に来るものは、ダイナミックな生産・運用なのでは?

需要と供給を調整するためにダイナミックに価格を変動させる仕組みは、ダイナミックプライシングとして、昨今では色々なサービスに適用されている。 典型例は、航空機。多くの人が遠くに旅行や仕事に行くときに飛行機のチケットを取ったことがあると思う。時期、つまり飛行機に乗る用事かあるという需要に応じて、価格がかなり違うことであろう。同じ東京・沖縄のチケットでも時期によって価格は全く違う。 そのほかにも、ホテルの価格もそうだ。繁忙期であるゴールデンウィーク、お盆、正月などは、どこもホテルの値段が爆上がりする。これも需要に対して価格をコントロールして需給のバランスを取っているとも考えられる。 ところで、価格をコントロールパラメータにする以外の方法もあるのではないかと考えている。供給量や供給品質をコントロールすることで需給を調整する方法。 見込みよりも需要が大きく、供給量を上回った時に、迅速に供給量を増やす方法である。例えば、とある電車に乗ろうとする人が想定以上に増えた時に、価格をコントロールして乗車したい人の量をコントロールするのではなく、迅速に便数を増やして、乗客を捌く方法。 こうした供給量や供給品質をコントロールするには、物理的な世界でのモノ・コトを迅速に変化させられるシステムが必要となることであろう。この点は、価格という情報を変動させることで需給を調整するダイナミックプライシングと比較しても、難しい点でもある。 しかし、昨今のデジタル化の急速な流れで、一部の領域では、…

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注目度の高まるGPT、逆に減速の兆しが見え始めるメタバース

本当にゴールデンウィーク前のこのタイミングで、GPTの話題で持ちきりである。誰も彼もがその話に終始。あれれ・・・つい最近まで、Web3、メタバースとか言っていなかったかしら。 ここ最近、逆に、メタバースに対して引き気味な兆候が見られつつある。今まで、とにかくメタバースにバーチャル●●を作ろうと、意気込んでいた企業の新規事業開発的な動きも、一気に方針転換?といった動きも見られつつある。 そりゃそうかもしれない。メタバースの中に、仮装店舗を作って、アバターでお客さんに来てもらっても、一回めは真新しくて関心を持ってもらえるが、何回も来てくれるか?すぐに飽きられてしまう。 一方、GPTはというと、そのパフォーマンスの凄さを一度体験してしまうと、次々と利用方法を利用者自身が考え出す。自分の利益につながるアウトプットも出てくる。もっと、もっとと活用したくなる対象である。 この違いが、注目度の高まるGPT、減速するメタバースという状況を作り出したのではないか?つまり、利用者にとってのわかりやすさ、メリットの身近さの違い。 本年は、この両者の違いがより明確になる一年になりそうな予感である。いつの間にか、メタバースは、過去の言葉になってしまうのかもしれない。何ともバズワードとしても短いものとなってしまうのかもしれない。

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JR東日本の「時間帯別運賃」に言及するのはそれだけ経営が圧迫されているということの現れ?

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、鉄道の利用客が大きく落ち込んでいる。利用客の落ち込みはそのまま鉄道会社の売り上げ減に響いていることでしょう。  だからこそ、鉄道会社の経営層は収益回復のための値上げを考えているのでしょう。JR東日本が、利用状況に合わせた運賃体系の見直しを検討しているという。  公共交通機関である鉄道は、その料金を国土交通省に制限されているはず。それでも値上げの検討、調整を考えているとはどれだけ深刻なのかということを物語っていると思う。  その一方、「時間帯別運賃」により人の動きがどのように変化するかは非常に関心が高いところ。「時間帯別運賃」によりそもそもの人の移動が抑制されるようでは、公共交通機関としてどうなのか。  人の移動は、交通機関の収益のみならず、小売業やサービス業など、様々な周辺の産業の売り上げにも大きな影響を与える。  例えば、電車代が高いからちょっと遠出は避けて、自宅周辺で買い物などは済ませておこう、外食を考えていたが交通費が高いので自宅で自炊しようなどなど、色々な消費者の消費心理にも影響を与えそうだ…  いずれにしても、JR東日本の「時間帯別運賃」は、今後、多くの利用者の間で波紋を呼びそうだ。現状のサービスレベル以上の質を担保しないと、単なる値下げにしか受け取られない。  JR東日本が「時間帯別運賃」でできるだけ収益を高めたいというのは理解できるものの、それと並行して様々な観点から利用者の納得感を得られるようなサー…

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定食屋さんのダイナミックプライシングがはじまる

 少しずつであるが、ダイナミックプライシングという言葉も浸透し始めているようです。昔から価格を変動させる仕組みとしてあった仕組みですが、それが多様な商売に浸透していく可能性が見え始めたというところかしら。  例えば、小さな飲食店でも、何かの状況に応じて、お店で提供する飲食物の価格を変えるという取組が考えられます。  今回ネットのニュースで、今回のコロナ化を契機に、東京の街中の定食屋さんがそのような取組を始めたことが報じられました。個人的には、ダイナミックプライシングの取組でこういったものを求めていたのです。 https://j-town.net/tokyo/column/gotochicolumn/306114.html  Jリーグなどのスポーツ観戦のチケット販売でダイナミックプライシングが取り組まれていますが、往々にして、いかに売れ残りを作らないか、そのために売れ残りによる収益を出来るだけ減らさない、価格値下げに焦点が当てられがちでした。  しかし、値段を下げるタイミングだけの仕組みでは面白くない。今回の事例のように、逆に値段を上げられる仕組みが重要だと思っています。  そして「ダイナミックプライシング」で価格を上げるためには、変動する何かの状況にお金を支払っても良いという価値感を見出していくことがポイントだと思っています。  今回の事例は、それが「混雑回避」=「安全な飲食スペース」なのだと思うのです。顧客は、定食屋で「混んでいない席」に多少高くてもお金…

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ダイナミックプライシングで収益を最大化する割引価格の設定方法

 ダイナミックプライシングとは、一言で言えば、モノやサービスの価格を時々刻々と変動させて、最適な収益を最適化するための技術と言えるでしょう。  価格の変動といった場合に、値下げはもとより値上げも含まれると考えたいところです。  しかしながら、昨今のニュースリリース等で流れてくる情報を持ていると、どうやらダイナミックプライシング=最適な値下げ価格設定、という趣旨に読めてしまします。  ダイナミックプライシングの一つの適用の仕方であるのは確かですが、値上げも意識した取組って少ないよね…と思わざるを得ません。  例えば、直近では、2020年5月21日付でブレインパッド社より「ブレインパッド、アパレル業界の「在庫過剰・衣服ロス」を解決するダイナミックプライシングの実用化に向けた取り組みを発表」というニュースリリースがありました。 === https://www.brainpad.co.jp/news/2020/05/21/11460 ブレインパッド、アパレル業界の「在庫過剰・衣服ロス」を解決するダイナミックプライシングの実用化に向けた取り組みを発表 - 複数の予測モデルと数理最適化アルゴリズムを用いて、通販ブランド「セシール」を支援 - ===  この事例では、ブレインパッドが、ディノス・セシールが運営する通販ブランド「セシール」のオンラインショップで、ダイナミックプライシング実用化に向けた取り組みを推進しているとのことです。  ニュースリ…

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ダイナミックプライシング:新技術導入とともに制度の対応も必要ということか…

 ダイナミックプライシングは、テクノロジーの進化とともに様々な業界に導入されようとしていますね。  特に、もともと料金の季節変動等があった航空業界では、さらなる需給状況を反映した、ダイナミックプライシングによる変動型運賃の導入を予定しています。  そう。来春にも導入されるのです。  仕組みとしては、ダイナミックに価格が変動できますが、制度としては、新たな対応が必要となるのです。  例えば、どのような対応なのか? (1)取消料規定  ダイナミックプライシングの導入を控え、予約開始時期がどんどん早まっているのが実態です。  例えば、NHが355日前、JLが330日前と予約開始日を大幅に前倒し、さらに航空券自体の発券期限も早期化しています。  その中で課題は、標準旅行業約款の取消料規定では、「旅行開始日の20日前以降でなければ旅行者から取消料を収受できないこと」、「21日前以前の契約解除における取消手数料は旅行会社の負担となること」といわれているようです。  これに対して、ダイナミックプライシングの導入の前提として、日本旅行業協会は、全国旅行業協会と共同で、新たな個別認可約款「国内募集型IIT約款」を作成しています。  これは、上記のような、取消手数料は旅行会社の負担が過度にならないようにするためとしており、観光庁への個別申請を行い、認可される見通しとのこと。  つまり、早期に予約が可能になり、かつ需給状況に応じて料金…

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ダイナミックプライシング:キャッシュレスの次は会計レス+ダイナミックプライシング

 高級飲食店向けのネット予約システムを開発するTableCheckという会社がある。キャッシュレス決済というキーワードで世の中がにぎわっているさなか、さらにキャッシュレス決済の次を狙っている企業である。 === 飲食店が信用スコアの高い客を優遇!? TableCheckが狙うキャッシュレスの”次”とは? 配信:ITmediaビジネスOnline 2019年07月02日 13時18分 公開 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/02/news093.html 毎日のようにニュースが飛び交うキャッシュレス決済。多くのプレーヤーが参入し群雄割拠の様相だが、店舗側の観点からキャッシュレスの”次”を提案する企業がある。高級飲食店向けのネット予約システムを開発するTableCheckだ。  キャッシュレスの次のステップとして「会計レス」を提供。さらに、個人の信用スコアリングを行い、飲食店でもダイナミックプライシングを実現しようとしている。 ===  このTableCheckという会社の取組として、とてもいいなと思う点は、「利用者がテーブルで会計を依頼すると、店舗側は予約時に登録されているクレジットカード情報を使い金額を入力して会計が完了する」という点である。  キャッシュレスは、現金の代わりに電子マネーを使うもので、確かに小銭を探したり、紙幣を取り出したりといった手間をなくしてくれることから重宝…

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ダイナミックプライシング:Web と電子ペーパーを用いたダイナミックプライシングの取り組み

 IoTサービスを提供する株式会社Momoと農業の6次産業化を推進する日本農業株式会社は、六次産業×IoT の実証実験をおこなったというニュースリリースがありました。  この実験には2つの目的があったとのことで、一つ目が「Web と電子ペーパーを用いたダイナミックプライシング」、二つ目が「最終消費者と生産者」です。  ここでは一つ目の「Web と電子ペーパーを用いたダイナミックプライシング」に着目したい。  記事に合った内容は下記の通り。 === MomoのIoTで店舗がメディアになる―株式会社Momo と日本農業が六次産業向けIoT ソリューションの実証実験を開始― 配信:株式会社Momo 2019年6月20日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000045691.html Web と電子ペーパーを用いたダイナミックプライシングの取り組みではMomo の開発したプラットフォーム "Pallete IoT" を使用し、通信量のかからないLPWA(省電力広域無線技術)を利用することで、従来のシステムに比べ比較的安価に提供することができる。 このシステムでは、あらかじめ時間毎の自動値引き設定が可能となり、人手がかからず店員が接客に集中出来、セール時の一斉値下げの対応は容易に可能である。 また、集計した値引きデータ、売上データをクラウドに蓄積し、分析することで、将来的には最適な値引き率を…

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ダイナミックプライシング:ライヴエンタテインメント分野でもダイナミックにプライシング

 ダイナミックプライシングという言葉をちらほら見かける昨今、スポーツイベント系だけではなく、ライブエンタテイメント系でも適用が始まろうとしています。  その兆しとして、エイベックスと三井物産がダイナミックプライシング事業で業務提携というニュースがありました。 === エイベックスと三井物産がダイナミックプライシング事業で業務提携 ライヴエンタテインメント分野での導入を促進 プレスリリース: エイベックス・エンタテインメント株式会社 2019.06.12 エイベックス・エンタテインメント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:黒岩克巳、以下:AEI)は、三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:安永竜夫、以下:三井物産)の子会社で、需要と供給の状況に応じてチケットの価格を変動させるダイナミックプライシング事業を行うダイナミックプラス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:平田英人、以下:ダイナミックプラス)の株式の一部を三井物産より譲受し、ダイナミックプラスを通じて音楽・コンサート等のライヴエンタテインメント分野におけるダイナミックプライシングの導入に向けた提携に合意しました。 ===  エイベックスは、音楽・コンサート等のライヴエンタテインメント分野におけるダイナミックプライシングの導入に向けて、ダイナミックプラス株式会社の技術を使う模様です。  そのための布石として、同社の株式の一部を譲り受け、かつ両者の提携に合意し…

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ダイナミックプライシング:引越サービスにも価格変動!?ダイナミックとはいいがたいが、それでも…

新たな業界でダイナミックプライシング導入!?  ニュース記事を見ていたら、新たな業界でダイナミックプライシング導入をにおわす説明書きがあった。  どれどれ。  何やら、引越業界で、ダイナミックに契約価格を変える仕組みをサカイ引越センターが導入したというニュースである。  引越屋さんですか…なかなか面白そうな内容であるので記事を読んでみた。 === 繁閑に応じ料金変動、サカイ引越が新契約システム https://www.logi-today.com/343643 配信:LogisticsToday 2019年6月3日 (月) サカイ引越センターは1日朝8時、ダイナミックプライシングを取り入れたインターネット契約システム「ササッと予約」による引越契約サービスの提供を開始した。 このシステムは、スマートフォンやパソコンを使って24時間いつでも引越契約が可能なサービスで、電話や訪問見積りが必要なく、「見積りの時間がとれない」という多忙な利用者が契約しやすい環境を作った。 ===  記事を読んでみると、スマートフォンやパソコンを使って24時間いつでも引越契約ができるサービスをサカイ引越センターが始めたということらしい。  なるほど。ちなみに、どこにダイナミックプライシングの仕組みが入っているのかしら…  さらに記事を読んでみる。 === 料金は季節や曜日、時間帯、混雑状況などによって変動し、事前に価格を確認した上で、契約…

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ダイナミックプライシング:会社の予算申請の際の見積・エビデンスはどうする?ホテルの価格が高頻度で価格調整

ホテルのダイナミックプライシングを見据え宿泊施設の宿泊価格の推移をグラフで可視化するサービスも  近年、ダイナミックに価格を調整する業種が増えています。典型的にはホテルの値段。時期によって、場所によって高頻度に宿泊料金が変わる状況になってきています。  そうしたことを受けて、下記のニュース記事にもある通り、米検索大手のGoogleが、ホテルなどの宿泊施設の宿泊価格の推移をグラフで可視化する「Price Insight(プライスインサイト)」の提供を開始するなど、価格変動の可視化サービスまで出てくる状況です。  そもそも変動しすぎるのも消費者にとっては、わかりづらいということなのかもしれません。 === Google、ホテルの宿泊代を節約できる最適な宿泊日を提示 検索結果のアップデートで https://airstair.jp/google-price-insight-serps/ 配信:2019.05.28 米検索大手のGoogle(グーグル)は、ホテルなどの宿泊施設の宿泊価格の推移をグラフで可視化する「Price Insight(プライスインサイト)」の提供を検索結果で開始したことがわかった。 ホテルの宿泊価格は、オンシーズンや週末、ホテル周辺でのイベントなどにより大きく変動することが多い。特に、最近では一部のホテルでダイナミックプライシングを活用した価格設定が行われるなど、高頻度の価格調整は一般的になりつつある。 === 個人で…

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ダイナミックプライシング:価格変動システムを食品ロス削減のために使う

スーパーでもダイナミックプライシング適用  スーパーでもダイナミックプライシング適用の取組が進んでいるようです。  海外の取組事例ですが、オランダ最大級のスーパーマーケットチェーンAlbert Heijn(アルバート・ハイン)が、食品の消費期限をベースとするダイナミックプライシング(動的価格設定)の実証実験を始めたようです。  スーパーマーケットといえば、現在でも、閉店間際のお惣菜の割引などが行われていますが、店員さんが一つ一つの商品を見て、賞味期限を確認し、割引シールを貼付するのはかなりの手間。  それが自動化できるのであれば、それはそれで作業の効率化ができる仕組みなのかもしれません。  さらに、昨今、世の中的にも関心が高まっている食品ロスにつながるのであれば、さらに良い取り組みになることでしょう。 ===== 食品ロスを削減!消費期限をベースとする価格変動システムを蘭スーパーが試験的に導入 https://techable.jp/archives/100131 配信:2019/5/27 Albert Heijnは、ダイナミックプライシングを実装した在庫最適化テクノロジーに強みを持つイスラエルのスタートアップ企業Wasteless(ウェイストレス)からのサポートを受け、独自の人工知能(AI)アルゴリズムを開発。 消費期限や在庫量、売上履歴、気象などの要素をもとに商品の価格を自動的に変動させ、価格をリアルタイムで電子棚札(ESL…

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ダイナミックプライシング:ダイナミックを見据えた動き続々。旅行は当然、小売りも想定

旅行代理店も見据えるダイナミックプライシング  ここ最近、2つのニュースが配信された。ひとつは、旅行業界の話で、JTBの2019年3月期の連結決算は最終損益が151億円の赤字というニュース。  このニュースの中には、ダイナミックプライシングの普及に対応したITシステムの見直しによる減損処理というキーワードがあり、旅行業界において、ダイナミックプライシングが重要なビジネステーマとなっていることがうかがえるニュースです。  旅行業界ではもはや、航空機や宿泊などではダイナミックに価格を調整することがほぼ当たり前となっており、旅行代理店としてもそれに対応したシステムが不可欠となりつつあることをうかがわせます。 == JTB、前期最終151億円の赤字に、海外子会社の減損などで 配信:2019/5/24 18:32 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45232290U9A520C1TJ1000/ JTBは24日、2019年3月期の連結決算は最終損益が151億円の赤字(前の期は10億円の黒字)に転落したと発表した。リーマン・ショック後の消費不振などで赤字となった10年3月期以来9年ぶりで、赤字幅は過去最大。海外子会社ののれん代とITシステムの減損処理などで132億円の特別損失を計上したのが響いた。 売上高は前の期比3%増の1兆3674億円、営業利益は23%増の63億円だった。M&A(合併・買収)で取得したブラジル…

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ダイナミックプライシング:小売りの販売サービスとしてのダイナミックプライシング

 日々、ポロポロとダイナミックプライシングに関する取り組みのニュースが流れてきます。一昨日配信されたニュースに、ビックカメラによるダイナミックプライシング導入に向けた動きのニュースです。 === タイトル:家電の価格、随時上げ下げ ビックカメラが「電子棚札」 分野:小売り・外食 配信:2019/5/20 7:00日本経済新聞 電子版 家電量販店大手のビックカメラは2020年度末をめどに、需給状況や競合価格などによって価格を柔軟に変える「ダイナミックプライシング」を全店舗で導入する。米アマゾン・ドット・コムなどネット勢に対抗するのが目的だ。価格をデジタル表示する電子棚札を全商品に設置し、店頭価格を本部から一括して変更できるようにする。 ===  ニュース記事によれば、家電量販店の店頭に並べられている商品についている値札をデジタル表記することで、ダイナミックに価格表示を変える計画とのことです。  従来も店頭の商品の値段を記載した値札は、手作業で差し替えて変更することは行われてきたところですが、それを電子化するという趣旨とも読めます。  ポイントとして、労働者不足への対応として、店頭販売員の作業負荷低減があるのでしょう。価格の電子表示ができれば、簡単にかつ迅速に値段変更ができますから。従来のような値札を印字して、商品棚にある札を差し替えるといった作業はなくなります。  一方、単に電子値札を入れるだけでは事業者目線のみでの効率化、利…

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ダイナミックプライシング:ダイナミックプライシングとブランド物の売買について

 SOU(東京都港区)という会社が北海道大学と共同研究により、ブランド買取の取引価格のダイナミックプライシングを目指すとのニュース記事がありました。  ニュースのソースは下記となります。 === SOU、査定自動化に向け北海道大学と共同研究 配信:2019年05月15日 https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_3632.php ブランド買取専門店「なんぼや」や「スターバイヤーズオークション」で知られるSOU(東京都港区)は、北海道大学・大学院情報科学研究科との共同研究契約を締結し、4月から中古ブランド品売買へのAIによるダイナミックプライシングの導入と、市場での適正価格の算出を目指す。 共同研究を行なう大学院情報科学研究科・調和系工学研究室では、ディープラーニングを中心としたAIの基礎と応用について研究を行っている。今回はAIを活用したオークションでのダイナミックプライシング、およびブランド品の査定自動化を目的として研究に取り組む。 同社では現在、商品の買取・販売価格の設定は、長年蓄積してきた過去の取引データ等を元に算出している。しかし、新商品の増加による取り扱い商品の増加や、為替の影響などによる日々の取引価格の変動を受け、ダイナミックプライシングが、今後の売上・利益の最大化や事業拡大に必須になると考え、今回の共同研究に至った。 ===  このニュース記事自体は、本当に数行ですので十…

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ダイナミックプライシング:価格調整することの本当の価値は?転売問題対策ではないのでは…

 ネット上に公開されている論文等を物色する中で、スポーツ×デジタルマーケティングをテーマとした下記の論文を見つけました。  スポーツイベントのファン層を拡大し、集客面をより拡充させるためには、デジタルマーケティングの重要性と、著者が所属する企業のデジタルマーケティングの紹介をしている論文です。 === タイトル:スポーツイベントにおけるチケットデータを活用したデジタルマーケティング 著者:佐藤忠彦、福元聡、石井雅登、平石格、松本泰明 FUJITSU. 69, 2, p.36-41(03,2018) ===    その中で、当方の関心キーワードである“ダイナミックプライシング”という言葉が使われていたので、その部分を紹介したいと思います。  具体的には、下記のような記述です。 === 試合や座席の人気度に応じて価格を調整する方法であり、ホテルや航空業界では既に導入されている。スポーツ業界においては、人気イベントの価格を適切に上昇させることで、転売問題対策となる(転売者の差益を減少させる)面もあり、導入の機運が高まっている。 (出所)佐藤等「スポーツイベントにおけるチケットデータを活用したデジタルマーケティング」 ===  この記述を読むと、ダイナミックプライシングの主たる目的はスポーツチケット等の転売問題の対策であるようにも読めます。  実際、スポーツイベントの主催者においては、転売問題…

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ダイナミックプライシング:フードデリバリー業界でのダイナミックプライシングのアイデア

 ダイナミックプライシングという考え方自体は昔からあり、誰もが思い浮かべるではないかと思っています。  ただし、既存のビジネスの中で、何を対象にどうやって適用するのかは工夫が必要で、単純に直ぐに出来るものでもないだろうとも考えています。  むやみに適用すれば、価格を変動させるのに手間がかかり過ぎて、そもそものビジネスが回らなくなることも考えられます。また、購入側からすれば、その価格変動は適正なものという納得感がなくなってしまうと思うからです。  では、どのような対象に適用するとよさそうかという点で、一つのアイデアとなる資料を見つけました。  それは下記の資料です。 === 「フードデリバリー業界を対象としたハイブリッド型物流モデルに関する研究」 A Study on Hybrid type Logistics Model for Food Delivery Industry 竹田賢,中邨良樹,大崎恒次,細谷信太郎 経営情報学会2018年秋季全国研究発表大会 2018年10月20日(土)~10月21日(日) 近畿大学 東大阪キャンパス https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmin/2018t10/0/2018t10_49/_pdf/-char/ja ===    同資料で着目しているのは、フードデリバリー市場となります。資料のメインの検討は、配送の仕組みとなっていま…

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ダイナミックプライシング:Jリーグで続々。清水エスパルスでも今シーズンから導入

 やはり、ダイナミックプライシングの導入が加速しているのであろうか。  2019年5月10日、清水エスパルスでは、6月からのホームゲーム6試合において価格変動制『ダイナミックプライシング』を導入する旨の発表を行っている。 https://www.s-pulse.co.jp/news/detail/42574 === エスパルスはこのたび、6月からのホームゲーム6試合において価格変動制『ダイナミックプライシング』を導入いたします。 ダイナミックプライシングとは、試合日程、席種、市況、天候、個人の嗜好などに関するビッグデータ分析を基に試合ごとの需要予測を行い、需要に応じたチケット価格の変更を自動的に行うことで、ファンの皆様のニーズに応じた"適正価格"で販売を行う仕組みです。ダイナミックプライシングによる販売では、ご購入いただくタイミングにより価格が変動する可能性がありますので、チケットをご購入いただく際は最新価格をご確認の上、お買い求めください。なお、価格設定は、過去の清水エスパルスチケット販売実績と販売期間中の販売実績を基にダイナミックプラス株式会社の独自の価格算出技術を活用し行われます。 (出所)清水エスパルスのWebサイト ===  2019年になって、次々と、Jリーグ各チームがダイナミックプライシングの導入を始めています。ガンバ大阪、名古屋グランパス…などなど。Jリーグ全体で、ダイナミックプライシング導入が推奨されているのかしら? …

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ダイナミックプライシング:シンガポールのタクシー予約アプリでダイナミックプライシング(サージプライシング)制度を導入

 最近気になるキーワードがある。  それは“ダイナミックプライシング”である。スポーツ観戦等での導入が今年度から浸透しようとしているようである。  その中で、“ダイナミックプライシング”というキーワードで次のようなニュースがあった。対象はタクシー配車サービスであるようであるが… https://www.nna.jp/news/show/1900308 == シンガポールの陸運大手コンフォート・デルグロは、今月15日から自家用車の配車サービスに参入する。 同社のタクシー予約アプリを通じて自家用車も配車できるようにする。これに伴い、需給に応じて運賃が変動するダイナミックプライシング(サージプライシング)制度を導入する。 新サービスの名称は「コンフォートライド」。 同社のタクシー予約アプリを通じた配車件数が増加傾向にあることから、ピーク時の需要に応えるのが狙いだ。まず15日に、一部のアプリ利用者を対象に試験的にサービスを開始する。 需給に応じて運賃を変えるが、予約時に運賃を確定させる。配車車両はタクシーと自家用車の両方を対象とする。 (出所)アジア経済ニュース ===  この記事を読むと、自分の体験上でもある意味、あってもいいサービスのような気もしている。  タクシーを利用したいけど、前を通過する流しのタクシーはどれもこれも乗車中、さらにアプリで配車を頼もうにも配車可能なタクシーがない…そんな経験がないだろうか。 …

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